サロン ド 冨山房 - Folio

08年12月19日(金)第26回サイエンスカフェを開催いたしました。

第26回 12月19日(金) 18:30〜20:30
「数学のエスプリ」
東京大学大学院 岡本 和夫氏

今回のサイエンスカフェの演者は岡本和夫氏(東京大学大学院数理科学研究科教授)、「可積分系の理論」がご専門。テーマは「数学のエスプリ」。いったいどんな内容なのだろうと構える我々を、洒脱なユーモアでほぐしながら、お話が始まった。
さて「可積分」とは、線形化可能あるいは線形系と関連づけられる非線形力学の総称とのこと。簡単に言うと、波を数式で表すことだそうだ。それは


といったkdv方程式などの数式で表されるのだとか・・・。

イメージとして考えると、たとえば「0」ばかりの数列の中に、「1」が4つ、2つ、1つ並んだかたまりが、それぞれ1かたまりずつあったとする。かたまりごとに左から右へ、1でない位置へ移動する場合、1が多いかたまりほど移動速度が速い。すると4つ並んだかたまりは、途中で混ざりながらもすり抜けて、2のかたまりと1のかたまりを追い越すことになる。この現象が「ソリトン」である。波の速度が変わらず伝播し、衝突しても安定して個別性を維持する。自然現象で言えば「津波」がそれだ。

中世ヨーロッパのリベラルアーツの中のマテマ4学科とは幾何、算術、天文学、音楽だがmathematicsの語源となったように「数学」が根本だ。数学に期待されることとは、「明晰である」「想像力を豊かにする」「知的好奇心を持つ」「数学的な論理を身に付ける」「自分の力で考える」、つまり「数字を使うことを楽しむこと」なのである。「数学が『数楽』であるのか、『数が苦』であるのか。学ぶ人たちが前者のように思えるといいのだが、実際多いのは後者のようだ。」と、岡本氏は語った。

数学は計算をするが、その過程で未知数が出てくる。それらを表すためには、なんらかの表記方法が必要で、世界共通のものでなければならない。たとえば「x」や「θ」、「π」、「Σ」などの記号や、実は数字もそうだ。世界中の人たちがこれらの記号や数字を見て、同じ計算をする。大きく見れば、英語を超えた共通の言語として普及していることになるのだ。

何かを表すための道具としても使われる。天体を観測しているうちに、天文学へと発展した。現在はその真偽はかなり疑問視されているが、「太陽系の惑星は、太陽からの距離が、ある数列にのっとった位置に存在する」という「ボーデの法則」もそのひとつだ。その法則にのっとると、火星と木星の間にもうひとつ惑星が存在しているはずだったが、当時は発見されていなかった。これを「自然現象の中には、数式だけではわからないことがある」と思うか、「必ずあるはずだ」と思うか。前者の場合はそれでおしまいだが、後者と思い、探し続けた天文学者が「小惑星ケレス」を発見した。しかしすぐに見失われる。見失ったとはいえ、存在することがわかった。ならば、必ずどこかにその軌道があるはずだ。

そこでまた活躍したのが、数学。ある人物が最小二乗法を改良して編み出した軌道計算法によって、ケレスは再び発見された。その人物とは、近代数学に多大なる影響を与えたガウスだ。彼は「数学は科学の女王であり、数論は数学の女王である」という言葉を残している。

数学には2種類ある。今までの公理・数式から新しい数式を導く「純粋数学」、津波や株など、自然現象や経済などの中に見られるモデルを用いて計算をする「応用数学」。どちらも語りつくせぬおもしろさがある。それをひとつひとつ解いていき、新たに成立する数式を組み立てていくというのは、なんと楽しいことだろうか。数学の魅力にとりつかれ、数式ひとつひとつを愛しているかのような岡本氏は、数の美しさを次から次へと愉快に話してくださった。参加者たちからもたくさん質問が出て、話はリーマンブラザーズから福沢諭吉の建学の精神におよび、カフェのひとときは、確かに『数楽』であった。






今回はクリスマスが近いということで、
期間限定でフォリオでお出ししている
クリスマスケーキに、数字の入った
チョコレートを添えて、出してくれました。
甘さ控えめでとってもおいしかったですよ。



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