「図案対象」(東京藝術大学資料館所蔵)、昭和17年度卒業制作買上作品を残し、戦場に散った異才の画学生、久保克彦(筆名 九畝克)。戦後、グラフィックデザインの先駆者とも賞賛された彼は、その鋭き感受性を詩篇にも吹き込んでいた。ずば抜けて斬新で鋭い感性と、豊かなイマージュとその飛躍の素晴らしさは、現代の鑑賞にも十分耐えうる詩集となっている。巻頭の口絵には、代表作「図案対象」を含む貴重な作品を掲載。

「叔父は画家の一方で、こよなく詩を愛し、沢山の詩を創っておりました。出征前、もし自分が帰ってこなかったときは、ぜひ詩集を出版してほしいと言い残して征きました。ところが詩の原稿はすべて故郷徳山の空襲で焼失してしまい。叔父の夢を叶えることができませんでした。最近になって、古い荷物の中から変色したわら半紙に鉛筆でかかれた手紙の下書きや幾編かの詩の断片を見出し、なんとか纏めてみました」

<批評、書欄、作品論を併録>
・九畝克と「シュルレアリスム」 黒田和子 ・「輓馬の歌」と客観的偶然性 黒田和子 ・昭和十七年、叔父が残した卒業制作 黒田和子 ・「図案対象」―生成と破滅のあいだのビジョン 赤松祐樹



編者紹介>
黒田和子(くろだかずこ)
1931年、東京生まれ。久保克彦(筆名 九畝克)の姪。慶應義塾大学文学部史学科を通信教育課程で卒業。著書に『浅野長政とその時代』(校倉書房、2000)、『《図案対象》を読む:夭逝のアヴァンギャルド画家、久保克彦とその時代』(水声社、2018)、『広島藩の幕末維新史 芸藩事情』(国書刊行会、2025)などがある。


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