<地球を愛し、人類の叡智に望みを託した言語学者の大志と哲学、その軌跡を次世代へつなぐ一書>

=内容紹介=

鈴木孝夫の全身全霊的主題は一貫して「ことば・文化・自然」であった。この「自然」そして地球全体への関心と問題意識がその後次第に内実豊かに膨らみ発展し、最終的に「世界を人間の目だけで見るのは止めよう」とのメッセージに至った。それはとりもなおさず独自の言語学豊富化のプロセスでもあったーー2022年2月、惜しまれつつ94年の生涯を閉じた言語学者、鈴木孝夫とのほぼ半生にわたる交流を振り返り、日本人の精神文化に大きな影響を与えた鈴木孝夫の思考の源泉をたどり、その哲学を次世代へ伝えるべく著者渾身の秀作。

 


 

<著者紹介>
松本 輝夫 (まつもと てるお)

1943年、石川県生まれ。東京大学文学部国文科卒業。卒論テーマの保田與重郎に関する論文(部分)が「保田與重郎覚書」として『日本浪曼派』(有精堂刊)に収載。在学中の谷川雁との邂逅を機縁に、1969年秋、谷川雁が経営者の一人であったテック(後のラボ教育センター)に入社。2004〜08年、同センター会長。2008年に退社後、谷川雁研究会(雁研)を起こし、現在に至る。2010年より鈴木孝夫研究会(当初の愛称「タカの会」)を起こし、孝夫を囲んでの研究会開催や研究誌『鈴木孝夫の世界』(全四冊)を編集・発行。『鈴木孝夫の曼荼羅的世界―言語生態学への歴程』『世界を人間の目だけで見るのはもう止めよう』(いずれも冨山房インターナショナル刊)の企画・編集責任も務める。
著書に『谷川雁―永久工作者の言霊』(平凡社新書)の他、『〈感動の体系〉をめぐって――谷川雁ラボ草創期の言霊』(アーツアンドクラフツ刊)の企画・編集を担い、雁研機関誌『雲よ』並びに故比嘉加津夫主宰の沖縄発季刊誌『脈』に論考を多数掲載。大分市在住。