谷川 健一 著
本書は、「神と巫女は、いつ、どのように誕生したのか」「龍の文様は、縄文時代に稲作とともに中国から伝来したのではないか」「出雲の龍蛇信仰は、沖縄から渡ってきた人々の原体験を反映したものだ」など、先史・古代から強く結びついた人間と蛇の交渉の謎を解き明かし、習俗や神話・祭儀のなかに龍蛇に込めた日本人のさまざまな姿をあきらかにする異色の文化・民俗誌である。 本書によって、日本人がなぜ蛇に恐れとともに崇敬の念を抱き、不死と再生の願いを寄せたかがあきらかになる。古代史への深い造詣と長年の現場への民俗調査が結実した谷川民俗学の傑作。巻末に、本書のエッセンスを語った著者へのインタビューを付す。〈編集担当より一言〉 2011年3月の東日本大震災は、われわれの死生観に衝撃を与え、改めてその意味を問うことになった。日本人は、先史・古代から生と死をどのように考えてきたのか。このとき、龍蛇に祈る心性が甦ってくる。循環的な生と死の象徴として、こころの深層にわだかまる蛇をめぐる文化・民俗を描いた本書は、現代人に深い示唆を与えてくれるはずである。(M)
<著者紹介>
谷川健一(たにがわ けんいち)
1929年、熊本県水俣市生まれ。東京大学文学部卒業。 『風土記日本』『日本残酷物語』、雑誌「太陽」の初代編集長を経て、文筆活動に入る。『南東文学発生論』で芸術選奨文部大臣賞・第2回南方熊楠賞受賞。『海霊・水の女』で短歌研究賞受賞。1981年以来、日本地名研究所所長として現在に至る。文化功労者。2013年、逝去。

 


 

蛇 不死と再生の民俗

本体:2,400円(税別)

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2012年1月27日
ISBN978-4-905194-29-3 C0039