牛山 恵 著

賢治童話を子どもはどう読んでいるのか
注文の多い料理店、よだかの星、やまなし、オツベルと象、どんぐりと山猫、土神ときつね、雪渡り、猫の事務所……
今まで、賢治の童話についての分析や評価は大人のもののみであった。しかし、〈子ども読者〉の率直な読みには、作品の「いのち」ともいうべき隠れた魅力に触れるものがある。本書は、賢治童話の魅力と諸相を読みひらき、その教材性の意味を問い、賢治の生あるものに向けての愛の思想を探る。

〔内容〕
第一章 子どもと読む賢治童話の魅力 一、異界との交歓 ―「雪渡り」 /二、生命の連環 ―「やまなし」/三、擬制を撃つ ―「よだかの星」/ 四、自己回復へのメッセージ ―「注文の多い料理店」/五、イーハトヴ の世界に遊ぶ―「鹿踊りのはじまり」/六、現実と理想の相克―「オツ ベルと象」

第二章 掘り起こす賢治童話の世界 一、異界からの手紙 ―「どんぐり と山猫」/二、領域侵犯者に与えられた罰としての刻印 ―「注文の多い 料理店」/三、きつね殺しの修羅 ―「土神ときつね」/四、社会悪への 批評 ―「猫の事務所」/五、賢治童話における悪の諸相 第三章 教材としての賢治童話 一、宮沢賢治童話の教材史/二、賢治 童話の魅力と教材化の可能性/三、教材論・作品論のための覚え書き

<著者紹介>
牛山 恵(うしやま めぐみ)
東京に生まれる。横浜国立大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科国語教育専攻(修士課程)修了。横浜市立の公立小・中学校の教壇に立つ。現在、都留文科大学文学部国文学科教授。日本国語教育学会、全国大学国語教育学会、日本文学協会、日本児童文学学会、宮沢賢治学会等に所属。
著書に、『国語教育における宮沢賢治』(私家版)、『「逸脱」の国語教育』(東洋館出版)、『教室のことばあそび』『たのしいことばの学習』『こどもたちのことば探検』(共著/教育出版)、『子どもと創る国語科基礎基本の授業』『子ども朗読教室』(共著/国土社)、『ジェンダーと言葉の教育』(国土社)など。

 

子ども読者とひらく 宮沢賢治 童話の世界

定価:2,750円(本体2500円+税)

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2014年12月20日
ISBN978-4-905194-84-2 C0095