谷川 健一・玉田 尊英 編
岩手、宮城、福島の詩人・歌人を中心に編んだ地震と津波の詩歌アンソロジー。

2011年3月11日の、未曾有の大震災以降、幾多の記録、文章、詩歌、俳句が発表され、惨事の様子や人びとの深い嘆きを伝えてきました。
そうしたなかで本書は、谷川健一氏(民俗学者、歌人、2009年歌会始召人、文化功労者)と玉田尊英氏(仙台在住の詩人・歌人)にとって選抜された、岩手・宮城・福島県の歌人130人を中心に、表現者として大震災に自己の存在を賭けて対峙した詩人・歌人の作品を加えて編集されたアンソロジーです。
ここには、かつて日本人によって体験されたことのない自然の猛威と放射能事故に当面した人たちの、失ったものへの深い悲しみの嘆きと慟哭の叫びとともに、自然のなかに生きる人間としての再生に向けた強い思いにも満ちています。
死者への真の鎮魂のために、そして、癒しがたい悔悟の思いを抱えながら前に向かって歩みをつづける人たちのために、本集の詩歌が、ひとりでも多くの読者のこころに届くことを希ってやみません。

<編著者紹介>
谷川健一(たにがわ けんいち)

1929年、熊本県水俣市生まれ。東京大学文学部卒業。 『風土記日本』『日本残酷物語』、雑誌「太陽」の初代編集長を経て、文筆活動に入る。『南東文学発生論』で芸術選奨文部大臣賞・第2回南方熊楠賞受賞。『海霊・水の女』で短歌研究賞受賞。1981年以来、日本地名研究所所長として現在に至る。文化功労者。2013年、逝去。

玉田尊英(たまだ たかひで)

1947年、北海道生まれ、宮城県仙台市在中。歌集『火を抱きて』、詩誌「THROUGH THE WIND」同人

 


 

■2023年3月22日 読売新聞で紹介されました →記事はこちら