谷川 健一 著
流動こそが生であり停滞は死であるという確信を捨てず、昨日も今日も歩き続ける一所不定の漂泊者。これら異端の永久歩行者は、国家からこぼれ落ちた者としてさげすまれ、あざけられながらも、自らの生涯を通して庶民信仰を生み、民間芸能を開花させた。漂泊の人々の聖賤を追い、民間信仰史の核心を抉り出す。
ほかに、河童、オニ、オバケ、妖怪、物怪……民間に伝わる異人伝承への考察も併せて収録。
【 内容 】
民間信仰史研究序説
永久歩行者 山の原始 山からの贈り物 終わりなき漂泊 四宮河原の非人と芸能 ケガレとキヨメ
妖怪起源考  妖怪からのめくばせ  憑きもの―生霊と動物霊  サンカとマタギ  山人の民俗誌  巫女の世界  漂海民―家船と糸満漁民  両面宿儺の世界  仮面の民俗 再生記譚と心意伝承  妖怪譚の白眉・稲生平太郎の化物退治  鬼の起源  日本神話の風土性
対談「稲生物怪録絵巻」と江戸の妖怪 杉浦 日向子
対談 黄昏時の異人たち 荒俣 宏
<著者紹介>
谷川健一(たにがわ けんいち)
1921年、熊本県水俣市生まれ。東京大学文学部卒業。 『風土記日本』『日本残酷物語』、雑誌「太陽」の初代編集長を経て、文筆活動に入る。『南東文学発生論』で芸術選奨文部大臣賞・第2回南方熊楠賞受賞。『海霊・水の女』で短歌研究賞受賞。1981年以来、日本地名研究所所長として現在に至る。文化功労者。2013年、逝去。

 

谷川健一全集 第13巻 民俗五
民間信仰史研究序説 他

定価:7,150円(本体6500円+税)

お求めは、こちらから!

2011年11月15日
ISBN978-4-905194-25-5 C0339