谷川 健一 著
地名は大地に刻まれた歴史の索引である。その索引をひくことによって、私たちははるかな祖先の営為の跡を知り、過去とのつながりを確認することができる。たとえば「ユイ」は共同作業に由来する地名であり、特に海岸に面したところにつけられた「ユイ」にはその可能性は大きい。鎌倉の由比ヶ浜などはその代表的なものであろう。
地名が秘める豊かな土壌を掘り起こし、谷川地名学の実りを立証した諸論考に加えて、昭和56年に立ち上げた日本地名研究所の研究と活動の歩みを、全国地名研究者大会基調報告や会報などを通してまとめた。

【 内容 】
地名伝承を求めて
地名のフォークロア 鉄生産地の地名と伝承 姥という地名 渡辺綱をめぐる伝説地名 小集落の地名 北陸―地名の謎 仁賀保とは 道行文と地名 地名の喚起力 地名が持つ魅力と美しさ 地名を守る意味 地名は日本人のアイデンティティ 地名権 新市名は安易すぎないか 他日本地名研究所の歩み
全国地名研究者大会・基調報告 「日本地名研究所通信」巻頭言 全国各地の地名シンポジウムにて 全国地名研究交流誌「地名談話室」より

<著者紹介>
谷川健一(たにがわ けんいち)
1921年、熊本県水俣市生まれ。東京大学文学部卒業。 『風土記日本』『日本残酷物語』、雑誌「太陽」の初代編集長を経て、文筆活動に入る。『南東文学発生論』で芸術選奨文部大臣賞・第2回南方熊楠賞受賞。『海霊・水の女』で短歌研究賞受賞。1981年以来、日本地名研究所所長として現在に至る。文化功労者。2013年、逝去。

 

谷川健一全集 第15巻 地名二
地名伝承を求めて
日本地名研究所の歩み

定価:7,150円(本体6500円+税)

 

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2011年8月10日
ISBN978-4-905194-17-0 C0339