一家に1枚周期表に見るわが国の科学技術の強さ|43

冨山房インターナショナル発行  未来を創る本

   第43回
8月20日(金) 18:30〜20:30


「一家に1枚周期表に見るわが国の科学技術の強さ」

ゲスト:
玉尾 皓平 氏
(理化学研究所 基幹研究所長)

化学や理科の教科書に登場する周期表。「すい・へー・りー・べー・・・」というような語呂合わせで覚えたことがある方が多いのではないだろうか。あの表には、素晴らしい科学の意味が込められているのだそうだ。今回、「『一家に1枚周期表』に見るわが国の科学技術の強さ」というテーマで、玉尾皓平氏(理化学研究所 基幹研究所長)がお話してくださった。

『一家に1枚周期表』とは、2003年に日本学術会議の公開シンポジウムで提案され、2005年に完成、現在第4版発行、約40万枚が普及されている。なぜ周期表か。自然も私たちの暮らしも、元素の特性が基になっている。つまり「Chemistry is all around us!!」それを日常生活で実感できないだろうか、という思いから、美しい周期表を作り、飾ってもらえるようにしたら、気軽にリビングなどで話題としてとりあげられ、親しみを感じられるのではないか、と考えたのだ。

周期表を通して、伝えたいこととは何だろうか。まず、私たちの体も元素でできているということ、20世紀後半の科学技術がどれほど進歩し、その恩恵を受けているかということだ。作るからには科学的な正確性をもつことは大前提として、わかりやすさに頼ってマンガっぽい仕上がりにはしない、パッと見てわかりやすく、各元素についてできるだけ多面的な例を挙げることをコンセプトとした。そのために専門用語は避け、難しい漢字も使わず、イラストは身の周りに存在するものにし、イメージや親近感が沸きやすくなるよう、工夫した。

そのイラストには「もんじゅ」や「はやぶさ」も掲載されている。さらにひじきの煮物や、乾電池、豆腐、花火、やかん、うがい薬など、身近に見たことのあるものがたくさん、元素記号と一緒に並んでいる。イラストひとつひとつに裏話があるそうで、ひじきの煮物は最初あぶらあげが入っておらず、書き直してもらったとか。ユーモアとリアリティを追求したイラストとなった。
この周期表は大成功。科学雑誌『Newton』に特集が組まれたり、一般向け書籍や、いわゆるアキバ系マンガのようなテキストまで刊行されたり、NHK教育テレビで元素記号を題材にしたアニメが放映されたりと、一大ブームを巻き起こした。
この周期表は、単に親しみやすいだけではない。科学技術の進歩に貢献してきた、多くの先駆者に敬意を表し、その研究についても触れている。たとえば車のサイドミラーの加工に使われている光触媒は、ガラスが曇らず、水滴を弾く仕組みだが、これは本多・藤嶋効果といって、日本人研究者の発見だ。他にも赤崎勇氏が発見、中村修二氏が実用化した青色発光ダイオード、夜間撮影用カメラをより鮮明にするための「電子なだれ増倍」現象を発見した丸山瑛一氏、DVD−RAMディスクを開発した高尾正敏氏などが登場している。身の周りに存在するものに、実は日本人の科学者が大きく貢献していたのだ。
最近のトピックスとしては、113番目の元素を、日本人が発見したこと、はやぶさの帰還、もんじゅの運転再開、恐竜絶滅はやはり隕石が原因だったなど、玉尾氏は新聞の報道をいくつも挙げて、こんな時にこの周期表を活用してほしいと語る。周期表を見ると、恐竜絶滅の原因となった隕石に含まれていたと考えられているイリジウムの欄には、恐竜のイラストが描かれ、キセノンの欄にはそのエンジンにキセノンが使われた「はやぶさ」の図、プルトニウムには「もんじゅ」と、話題満載である。リビングでニュースを見ながら、楽しむことができるのだ。

理科離れが声高に叫ばれる昨今、わくわくするような話題、授業、実験がいかに大切であるか。「子供の理科離れより、大人の理科離れの方が深刻。科学がいかにおもしろいかを伝えることができなければ、子供がおもしろいと思うはずがない」まったくその通りである。「一家に1枚周期表」は1枚100円。購入して子供たちと周期表を見ながら、科学の楽しさに触れてみてはいかがだろうか。


ウェハースに隠された文字は? ピースを組み合わせて・・・
化学記号が出てきました!!これは「キュリウム」。属によって、色が違うのだとか。
今回のデザート

 

皆様パズルを楽しんでくださいました。先生も夢中でしたよ。

こっそりスタッフも楽しんでいました。


 

上列左からウラン(U)、レントゲニウム(Rg)、アメリシウム(Am)、下列左からチタン(Ti)、コバルト(Co)、バナジウム(V)です。

参加者の皆様は、どの元素記号だったのでしょうか。

 

#サイエンスカフェ