
物体の組織を社会の構造に喩うれば、分子は恰も(あたかも)一家の如し。その老幼男女より成立するは恰も原子集まりて、分子を組成するに異ならず。而して一家の人々は各自勝手に遊動すと雖も(いえども)、その間自ずから離る可からざる関係ありて一家を成すものなり。原子の分子を組成するも亦かくの如し。原子は、恐らくは互いに密着せるには非ず、その間に細微なる間隙ありて各々自在に動揺すと雖も、自ら離る可からざる関係その間に存ずるを以って、一団体となりて分子を組成せるなり。男女相集まりて一家を成し、一家相集まりて市邑を成す。物体の組織も之に異ならず。市邑は物体にして一家は分子なり。而して個人は之を原子に比すべし。即ち原子相集まりて分子を成し、分子相集まりて物体を成す。
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