サロン ド 冨山房 - Folio

07年6月15日(金)第10回サイエンス・カフェを開催いたしました。

「花の色はうつりにけりな」

花の色=老廃物だといわれ、かつては軽視されていた分野が、今注目されている。
「青いバラ」という言葉を1度は聞いたことがあるだろう。不可能なことを示す代名詞である。では、花の色はどのようにして決まっているのか。その仕組みがお茶の水女子大学 作田正明氏によって、楽しくわかりやすく紹介された。
花や葉の色を決めているのは、アントシアニンやクロロフィルといった色素である。アントシアニンは赤、クロロフィルは緑をそれぞれ形成しているそうだ。その色素を決定しているのは、遺伝子だという。どの遺伝子が発現するかによって、何色の花になるかが決まる。
植物学者が注目したのは、何色に対してどの遺伝子が発現しているか。研究に研究を重ね、青色の花の遺伝子を抽出したとき、現れたのは赤を示すアントシアニンだった。
一体なぜなのか。最初に考えられた説はpH値の違い。しかし、実験の結果すぐに否定された。次に有力説としてあがったのは、コピグメンテーションである。これは赤の色素と淡黄色の色素が重なると、青くなるという現象を捉えたことによる。また、金属錯体といって鉄やマグネシウム、カルシウムなどが含まれることが原因で青が発現する説もある。しかしそう単純でもなく、アジサイの青い色はこれらすべての要因を含んで、青になるという。
国立科学博物館で青いバラが展示されたニュースは記憶に新しい。なぜ青いか。パンジーの青からヒントを得た。OH基を3つ持つことによって青が発現しているが、バラは2つしか持たない。パンジーのOH基をつなげている遺伝子を抽出し、バラに挿入することによって、不可能を可能にしたのだ。
長年の研究によって実現された「可能」は、まだまだ「完成」ではない。自然界で起こっているコピグメンテーションや金属錯体による青には、まだまだ及ばないのである。「色の道は複雑なんです」そう言った作田氏の笑顔が輝いていた。




おやつ休憩を挟み、参加者からの活発な質疑応答が飛び交い、近年の植物モニタリング研究や色素に注目した環境問題への対応について、様々な植物研究の最近を聞き、神保町の夜はふけていったのだった。

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