2010年10月15日(金)第45回サイエンスカフェを開催いたしました。

第4
510月15日(金) 18:30~20:30
音楽と科学の協奏

大塚博章 氏(バス・バリトン歌手)
山田 岳 氏(クラシック・ギター奏者)
梅田智広 氏(東京大学特任教授、医学博士)
白井優次 氏(音楽プロデューサー)

今回は一風変わって、「科学と音楽の協奏」というタイトルで、音楽プロデューサーの白井優次氏とバス・バリトン歌手の大塚博章氏、クラシック・ギター奏者の山田岳氏、そして科学の分野から梅田智広氏(東京大学特任助教、医学博士)がおいで下さった。科学と音楽2つの分野をつなごうという企画は、コーディネータの室伏きみ子氏と白井優次氏によって1年前から構想が練られていたのだとか。いつもと違うテーマに、興味津々のお客様が大勢集まり、会場は満員御礼となった。

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まず梅田氏が小型センサーを取り出し、会場の何人かに協力をお願いした。この径3cmほどのシート状のセンサーは、心臓の近くに貼り付けることによって、一定時間の心拍や体温を記録することができ、その時間帯に起きた出来事が、私たちの体にどのような影響を与えるかを調べることができるのだそうだ。今回は緊張やリラックスを司る自律神経系に着目し、生演奏を聴くことでどのような心拍になるのか、どの曲でリラックスまたは緊張するのかを計測するのだとか。もちろん大塚氏と山田氏の胸にも貼っていただいた。また立っているか寝ているか、歩いているかなどの体勢も経時的に記録することができ、こういった技術が進歩することによって、常時モニタリングできれば、お年寄りの見守りや未病患者を救うことにつながる、と梅田氏は言う。
ご協力いただける方々にセンサーを付けていただいたところで、まず1曲目が始まった。曲目はヘンデルの「ラルゴ」だ。バロック時代の曲だが、聴いたことがある方も多い親しみ深い曲だ。白井氏は、様々な時代の曲を参加者に聴いてもらって実験に役立てようと、大塚氏や山田氏と相談して曲目を工夫してくださった。バリトン歌手の大塚氏は、来年7月に二期会の「トゥーランドット」に出演が決まっている実力派。ギタリストの山田氏は今年5月にクラシカルギターコンクールで優勝したという、こちらも素晴らしい演奏家だ。1曲目から圧倒される演奏で、会場は一気に飲み込まれた。
2曲目は山田氏のギターソロで、バッハ「リュート組曲 プレリュード」。リュートはギターの前身といわれ、ギターとは弦の数も違うのだそうだ。演奏も素敵だが、白井氏もお二方もとても博識でお話が楽しい。音楽家の研究の日々が窺える。
3曲目は大塚氏。モーツァルト「魔笛」から、ザラストロのアリアだ。以前ザラストロを演じたことがあり、とても思い入れのある曲なのだそうだ。これがどう影響するか、楽しみである。
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4曲目にシューベルト「冬の旅」より1曲、5曲目にワーグナー「タンホイザー」から夕星の歌を歌ってくださり、1度休憩を入れた。この間ももちろん測定中だ。
 続いて、6曲目ルチアーノ・ベリオの「セクエンツァⅩⅠ」だ。この現代曲は素晴らしいと感じる方と、耳障りに感じる方、2つに分かれるとか。その理由は無調の曲といって、とても不安定な曲で、弾いている方はとても楽しいけれども、聴いている側はなんだか無重力の中にいるような気になるそうだ。さて、結果は…。
image1 7曲目は滝廉太郎の「荒城の月」。一転して懐かしい調べだ。この荒城の月は、童謡唱歌に分類される。童謡唱歌は日本の文化や風景を歌っており、親しみ深く馴染みのある曲が多いが、最近の音楽の教科書には登場しなくなったそうで、白井氏も「本当に残念。会場に文科省の方がいらしたら、ぜひ」とユーモアたっぷりに訴えていらしたが、同感だ。
8曲目は尾崎豊「シェリー」だ。白井氏、大塚氏の青春の一曲、カラオケ十八番!とのこと。音楽家は意外にクラシック以外の曲も聴く。あるビオラ奏者は演歌がお好み、大塚氏はマイケル・ジャクソンも聴くのだそうだ。日本語の歌詞とあって、ぐっと感動が増す曲であった。9曲目も日本の曲、秋川雅史「千の風になって」。こちらもまた日本語の歌詞で、感動ひとしおであった。オペラの曲と日本語の曲、そこにも何か違いがあるかもしれない。
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データ解析中に様々な質問が飛び交った。「荒城の月」の歌詞、"花の宴~"の語尾が原曲はシャープがついていて、少し違った調べになるので、試しに歌っていただけないか、という興味深いご質問もあり、早速歌ってくださった。シャープがついている方が、ぞくっとする美しさがあり、そちらの曲調の方がよいという参加者が多数であった。
10分ほどで大塚氏の解析が完了した。大塚氏が歌っていて最も気持ちが良かったというワーグナーの演奏中は、副交感神経の活動が高く、リラックス度が高かった。「ファ」の遊びがある曲はリラックス度が高い傾向にある、という結果が出た方もいらしたとか、人それぞれの結果がみられたようだ。詳しい解析結果は後日。
 このセンサーで常時モニタリングできれば、たとえば職場で上司に怒られたときに、「期待されている!」と前向きに取る人と、「左遷されるかも…。」と落ち込む人がわかったり、一般的に胎教やリラクゼーションになるといわれるモーツァルトも、人によってはストレスにつながる可能性も見つかったりといった、セルフメディケーションに役立つのだそうだ。最近話題にも上がる独居老人の場合も、離れたところから感知できるようにすれば、倒れたり具合が悪かったりすることがわかるのだそうだ。「大塚さんは、ワーグナーのときもリラックス度が高いですが、スイーツのときも高いですよ。」と、スイーツ好きをお見通し。「現代技術はとても楽しいものが多い。こうした機会をとおして、もっとたくさんの人に興味を持ってもらえれば。」と、梅田氏は言う。
大好評であった、音楽と科学の協奏。ぜひシリーズ化してほしいものだ。


今回のデザートは・・・
         

 
 

音楽に合わせて、マシュマロが3つ並んで1・2・3、カフェオレババロアです。
アイスクリームものって、甘さ控えめあっさり食べられます。


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