サロン ド 冨山房 - Folio


09年4月17日(金)第29回サイエンスカフェを開催いたしました。

第29回 4月17日(金) 18:30~20:30
「脳についてのうわさ、うそ?ほんと?」
日本学術会議長 宮内庁 皇室医務主管 金澤 一郎氏

 毎月第3金曜に開催している、冨山房インターナショナル・日本学術会議のサイエンスカフェは、今回で4年目に突入する。「これも参加してくださる方々や、お話してくださる先生方、コーディネーターの室伏先生のおかげ。今後もどうか楽しみにして、参加していただければ」と、冨山房インターナショナル社長・坂本喜杏氏が話した。
 その今回は日本学術会議会長の金澤一郎氏が来てくださった。宮内庁皇室医務主管もされており、いつもの倍近くの参加者が集まった。日本のトップの学者たちを率いていらっしゃると聞いて緊張したが、温かさと懐深さと、みんなを惹きつける素敵なエネルギーを発する方だ。テーマは「脳についてのうわさ、うそ?ほんと?」。最近よくテレビ番組で取り上げられる脳の話は、曖昧なものが多いため、ここで少し話の「うそ?ほんと?」について参加者の皆様と迫ってみよう、ということである。

 一般的に「脳」の重量は約1500g。体重が60kgとしたら、約2%が脳の重さになる。しかし、たった2%なのにも関わらず、体全体の20%のエネルギーを消費しているのだ。しかもそのエネルギー源は血中のブドウ糖のみ。贅沢なのである。脳にはエネルギーを貯蔵するグリコーゲンや脂肪がほとんどないため、糖や酸素を血液から供給してもらうしかない。だから脳に血液が途絶えると、死の危険が迫ってくる、というわけだ。
 脳は右脳・左脳で機能が違い、右脳は空間を認知して構成をし、左脳は言語に関わる機能を司っている。さらに分類すると前頭葉、後頭葉、頭頂葉、側頭葉の4つに分類され、それぞれが別の機能を持っている。つまり4つの分野の作用と、右脳・左脳の作用を連携させることによって、うまく機能しているのである。このことから「右脳人間」「左脳人間」など、存在しないことがわかる。
 脳にはあらゆる神経細胞が用意され、単一ニューロンのレベルで様々な機能が局在している。簡単に言うと、手を見たときに「これは手だ」と認識(反応)するニューロン(手ニューロン)があり、そのニューロンは手ではなく、顔を見た場合は反応しない。顔を認識するニューロン、目を認識するニューロン、耳を、鼻を・・・といったニューロンが存在する。その局在するニューロンは、得た情報を同時に処理することができ、そうしてひとつの物体を認識できるのだそうだ。しかし、それらのニューロンがどこでどう結合して、物体を認識できるのか、というメカニズムはまだ不明なのだという。
感覚だけではなく、言葉や文字も脳が認識・操っている。一次運動野の運動性と一次聴覚野の感覚性の言語中枢がそうだ。文法中枢や文章理解中枢もある。運動性が機能しなくなると、言葉を発することができず、感覚性が機能しなくなると、相手が言っていることが理解できなくなる。男性の場合は左脳で相手の話を聞くが、女性は両方で話を聞くので、女性は感覚性の障害になりにくい。そういった面での男女差はあるが、脳は個人差がほとんどないことが知られているそうだ。
 もちろん脳は記憶も司っている。覚える(記録)、覚えておく(保持)、思い出す(再生)というプロセスがある。さらに短期記憶(分単位)、長期記憶(短期記憶以外)があり、長期は言葉で表現できる陳述記憶と、体が覚える手続き記憶がある。なかでも陳述記憶は、出来事の記憶(エピソード記憶)、常識的な記憶(意味記憶)があり、アルツハイマーはエピソード記憶がやられてしまう。記憶は、あるイメージがぐるぐる回路を回っているという説があるが、明確な理論がまだ解明されていないため、アルツハイマーの治療法が見つからないのだとか。
 老化によって体が小さくなったり、細胞が減少したり・・・。これは生きていくうえで、どうしようもない現象だ。しかし、低下しないものもある。体が覚えたことや文化的影響による経験などで得たことだ。また、状況判断能力、人間関係調整能力、洞察力、総合的な解釈や判断を下す力、情緒的な安定を保つ能力などは、歳とともに向上していく能力だ。老化とともに衰えていくと悲観することはない。しかし、使わないと弱化してしまうことは事実なので、使うに越したことはない。
最後にひとつ、クイズが出た。男子が13人、女子が12人のクラスの担任の先生は何歳でしょう?という問題だ。答えは・・・・・・・・・ない。問題を出されたら、常に答えを探してしまう。答えがあって当然だと思っている。しかし、時には答えなどないこともあるのだ。頭は常に柔らかく、様々な状況に合わせられるようにしておくことが大切だ。

 まだまだ解明されていないことがたくさんある。「脳」はとても奥が深く、この短時間ではとても語りつくせない。金澤氏はポイントごとに、会場に問いかけたり、質問を募ったり、お話を楽しんでいる。参加者からの質問も次から次へと飛び出した。
 そのすべてに好奇心と責任を持って、答えていく金澤氏は「脳」だけでなく、この世のすべてにアンテナを張っているように見え、金澤氏ご自身の脳の働きぶりに目眩い思いがしたひとときだった。

 
今回のデザートは・・・
お皿にチョコレートソースで顔を描いて、シュークリームを頭に見立てた、「脳シュークリーム」。かわいい顔は、お皿によって表情が違うのだそうですよ。。


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