サロン ド 冨山房 - Folio

08年5月16日(金)第20回サイエンスカフェを開催いたしました。

第20回 5月16日(金)  18:30〜20:30まで
「爽やかな科学の風」を運ぶ雑誌づくり
佐藤年緒氏
(Science Window編集長)

今回のサイエンスカフェは、いつもと少し違って、サイエンスを広めている方に来ていただいた。月刊誌「Science Window」の編集長、佐藤年緒氏だ。お話の合間に参加者の方々へ声をかけたり、質問したり、とても和やかな雰囲気で進んだ。
「Science Window」は、2007年4月から科学技術振興機構(JST)で発行している雑誌だ。理科離れや科学教養が乏しい昨今、理科教育に携わる人や子供たちへ、最終的には一般の方々にも手にとってほしいと願ってつくられた。現在、小・中・高校や科学博物館などに無料配布している。
小学校で理科が苦手な教師は約6割。また小学校に女性教師が多いことから、編集方針を決める過程では、若い(?)女性に受ける本とはどういう本か、教育的な要素をわかりやすく取り入れるためには、どうしたらよいかなど、様々な激論が交わされたそうだ。そして「子どもたちのなに?なぜ?に、大人も一緒に考えてこたえていく」「自然の美しさ、不思議さ、驚きを伝える」「科学する心を開く」ことの大切さに共通理解を得た。
もちろん苦労話もある。表紙のデザインに使う写真は2ヶ月前から企画されている。しかし2ヵ月後の風物詩の写真を撮るのは、とてもとても苦労するのだそうだ。原稿も苦労する。最初のページに掲載している「似姿質違」。これは造語だそうだが、「姿は似れども質は違う」という意味。たとえば「カタツムリとナメクジ」「アヤメとカキツバタ」「ズワイガニとタラバガニ」…。姿は似ていても違うのだけれど、どう違うのか。聞かれるとわからないし、言われたら似ているなと思うが、それを毎月考える編集部は大変だ。時には「昆虫採集はしてもいいか、よくないか。」などという先生からの質問にも答えるのだそうだ。
日本人は自然を身近に感じて生きてきた。日本人の自然を表現する言葉は一種独特で、当たり前と思っていたことが、外国人から見ると、初めて出会った事実だったりもするのだ。例を挙げると、雨が降ると川に入って増水し、海まで流れて雲になり、また雨が降るという水の循環を、日本人は良く知っているが、エジプト人は川の上流のことは知らないため、なぜナイル川が氾濫するのかがわからなかったそうだ。豊かな自然を見て育った日本人には、自然の美しさに感動する感性がある。これはりっぱな理科であり、子供たちに伝えたいことのひとつでもある。今年は「科学散歩−いにしえの心」というコーナーを設け、そこで伝えていきたいと言う。
当日、佐藤氏が最新号を持ってきてくださった。筆者も手にとって読んだが、とても温かく、ほのぼのとした雰囲気が伝わってきた。理科だけれども、硬くなりすぎず、やわらかくなりすぎず、冷たくならないように、工夫がなされているなと感じた。
「科学は爽やかか」「科学は温かいか」「科学とは」「科学の課題とは」。雑誌を制作している間に多くのことに疑問を持つ。「どこからがわからないかを知っているからこそ、知らないことに対しての興味、好奇心が湧く。わかった!という感覚を身に付けることによって、新しい発見のうれしさ、楽しさがわかる。」「自然との関わりを再生し、地球規模で人の公平性を目指し、次世代につなげたい。」その意思はやさしく温かく、けれども強い。
「風が吹くままに、自然と社会にいざなわれて歩き続ける。」そんな言葉で締めくくった佐藤氏は、科学のおもしろさを科学者よりも知っているかもしれない。










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