サロン ド 冨山房 - Folio
08年3月21日(金)第18回サイエンスカフェを開催いたしました。

第18回 2008年3月21日(金)18:30〜20:30
リスクとリスクコミュニケーション

東京大学環境安全本部特任教員 小山富士雄氏

今回のサイエンスカフェは「リスクとリスクコミュニケーション」。東京大学・環境安全本部副本部長・特任教授の小山富士雄氏がお話ししてくださった。
現在の日本は、平均寿命が上がり、GNPは世界トップクラス、健康や衛生面についてもトップクラスの状態である。しかし、少子高齢化に伴う老後の生活不安や人口減、環境悪化の恐れやライフスタイルの乱れからくる社会の健全性の喪失といったリスクも抱えている。
リスクといってもビジネスやスポーツ、化学物質の利用、安全管理や環境管理、市民運動や消費者活動など、さまざまな観点からリスクは生じているものである。その中で化学物質のリスクに焦点をあてた。
現代生活において、化学物質は農地で、加工工場や製品工場で、車での通勤や一般家庭でも使われている。今の便利で快適な生活には、なくてはならないものでありながら、負のイメージが強い。なぜか。化学物質を取り扱っている工場の周辺住民は臭気や騒音、排水、煙などを不快に思い、工場の高い塀の向こうで何をやっているのかがわからず、なんとなく不安になる。そんなとき、工場での事故などや化学物質、環境問題に関する報道が多々されるようになってきた。それによって地域住民の不安はますます増大していくことから、負のイメージが蓄積されていくのだ。しかし、化学物質問題をきちんと把握した上で、企業や行政からの適切な情報発信さえあれば、その不安が高まることはなかったのではないだろうか。
化学物質についてのリスクゼロはありえない。ならば少しでも抑えるために、危険な化学物質の適切な管理と排出を最小化し、その性状についてのじゅうぶんな知識の提供と、誰でも危険性がわかる表示をするといった努力が必要である。実際、化学物質の危険性について、動物実験などが行われている。しかし、そういったことから得た情報を開示する場を設ける必要があるが、設けたとして住民の不安は減るのか、また、受け入れてくれるのかどうかということは、別問題なのである。
そこで必要となってくるのが、リスクコミュニケーションである。リスクコミュニケーションとは、関係者が相互に情報を要求・提供・説明しあい、意見交換を行って、その問題や行為に対して理解と信頼のレベルを上げ、リスク削減に役立てるものである。その目的は説明の後に合意を得るものではない。双方の言い分を話し合い、理解すること、つまり「合意はしないけれども、相手の言うことはもっともなことだ」と互いに理解することが目的なのだ。
しかし、これがなかなかうまくいかない。化学プロセスの内容が難解なため、理解が困難であること、リスクと災害の違いが感覚的に理解困難であること、企業や行政と一般市民の価値観に大差があることなどがその原因である。市民の話を聞き、いかにその価値観へ共感できるかが重要となってくる。
よりよいリスク理解のために、一般家庭において、科学や社会の仕組みに関する知識の取得や各種体験、企業や行政において、社会の声に耳を傾け、アンテナを常に高くし、相互理解のために何をすべきか考えることが必要なのである。
日常生活におけるリスクが気になるようで、たくさんの参加者たちが小山氏と議論し、リスクコミュニケーションを行っていた。さて、話を聞いた上でのコミュニケーションはうまくいったのだろうか。

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